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最近の解決事例

民間総合調停センターの最近の解決事例を紹介しております。

解決事例(自転車事故の事案)

自転車事故の事案

1.申立の内容
申立人が自転車で走行中、左折にて車道を横断しようとしたところ、車道を同方向に自転車で走行していた相手方に衝突するという事故が起きました。相手方の自転車は販売当時、約30万円の高級自転車であり、当該事故により損傷を受けた自転車のフレームは、一度損傷を受けると復元不能で、全てを取り替える必要があるとのことです。したがって、全損と評価されるべきであるから、約30万円を支払ってほしいと、相手方から、申立人に請求がなされました。
申立人は、相手方からの損害賠償請求に対して、支払う必要がないことの確認と、もし支払う必要があるとしても適正な損害賠償額の算定してほしいと、当センターに和解あっせんを求められました。
2.事案の審理経過
和解あっせん人には、弁護士のほか、司法書士と行政書士が就任しました。
本件は、過失割合と、相手方自転車の損害額の算定が問題でした。過失割合については、申立人の過失の方が大きいと考えられましたが、事故状況についての主張が異なっていましたので、内容次第では、色々なヴァリエーションが考えられるものでした。損害額についても、訴訟となった場合に、相手方が全損を立証し得るのか、時価算定額の論点があるので、本件が訴訟になった場合の判決結果の予測は困難でした。
そこで、和解あっせん人において、現時点の中古車価格、過失割合をシュミレーションした結果、10数万円が妥当と判断する旨を提示したところ、相手方は、金15万円、手数料は折半とすることが最大の譲歩ラインであるとのことでした。和解あっせん人から、申立人に、和解あっせん人の考えと相手方の主張を示して検討していただいた結果、申立人も早期の解決を求められ、金15万円を支払うことを了承されました。結果、申立てから4ヶ月弱、3回の期日で、和解が成立しました。
3.ADR利用のメリット
自動車での交通事故であれば、日弁連交通事故相談センターの示談あっせんや、(財)交通事故紛争処理センターの和解あっせんを利用することも可能です。いずれも手数料は無料ですので、これらのADR機関を利用できるのであれば、その方がよいでしょう。しかし、いずれのADR機関も自転車同士の事故や、自転車と歩行者との事故といった自動車以外の事故については、取り扱っておられません。民間総合調停センターは、民事に関する紛争全般を取り扱いますので、このような制限はなく、自転車同士の事故や、自転車と歩行者との事故といった自動車以外の事故についてもご利用いただくことが可能です。
自転車事故でも事故の態様によっては、今回の事件のように、高額な損害賠償を求められることもあります。まずは、事故が起きないよう注意すべきですが、万が一起きてしまったときには、民間総合調停センターの利用を検討していただければと思います。

解決事例(越境建物の問題の事案)

越境建物の問題の事案

1.申立の内容
申立人の土地には、隣接地所有者である相手方の建物が越境して存在しています。そのため、申立人はその土地を利用できておらず、さらに固定資産税も課せられている状態でした。そこで、申立人は相手方に当該土地を売却したく、和解あっせんを求めてこられました。
2.事案の審理経過
和解あっせん人には、弁護士の他に土地家屋調査士と不動産鑑定士が就任しました。
本来、法律上の買取請求権はありませんので、あくまでも申立人と相手方との間で売買の合意ができるかどうかが最大の問題でした。しかし、申立人は早く手放して早期解決したい意向が強く、相手方も適正価格であれば買い取ると、双方が柔軟に常識的な対応をされました。また、不動産鑑定士の和解あっせん人が正式な鑑定ではありませんが、適正価格の額を出し、この額を参考に価額を決定することが来たため、3回の期日で和解が成立し、本手続の席で代金決済等もできました。
3.ADR利用のメリット
買取請求権がない本件は裁判になじみません。解決を目指す双方が柔軟に話し合いを進めるADRだからこそ早期解決に至ったケースです。

解決事例(借地上建物の買取事案)

借地上建物の買取り事案

1.申立の内容
申立人の父親が、地主である相手方から約30年前に土地を借り、家を建ててご家族と暮らしてきました。ところが今は、ご両親は既に他界し、申立人ご本人も転勤でその家は使っていません。申立人は相手方にこの家の買い取りを打診しましたが、金額の折り合いがつかなかったため、当センターに和解あっせん手続を申立てられました。
2.事案の審理経過
申立人としては、使っていない空き家を適正な評価で買い取ってもらいたい。一方、相手方も、適正な評価がなされるのであれば買い取ってもいいという思惑があったため、ADR手続が開始されました。和解あっせん人には、弁護士の他に不動産鑑定士と宅建業協会会員が就任しました。
本件の最大の争点は、借地権の買取価額の評価です。本件の和解あっせん人は不動産評価と取引実務の専門知識を持っているため、正式な鑑定ではないまでも、標準地や基準地の公示価格や周辺地域の取引事例などを両当事者に説明し、双方が納得できる価格を提案することができました。その結果、申立から約3ヶ月、4回の期日で合意に至りました。
3.ADR利用のメリット
仮に本件を裁判手続で進めるとすれば、借地権評価や買取り価格を詰めていくには、どうしても裁判所が選任する鑑定人の鑑定評価を待たなければなりません。どんな鑑定結果になるのかはフタを開けてみないとわかりませんし、何よりも鑑定費用を誰が、どの程度負担するのかを決めなければならず、それだけで話し合いが難航することもままあります。
本件では、弁護士による争点整理と、不動産の鑑定、取引を行う専門家の知識が活用され、裁判手続では通常必要な鑑定費用もかけずに、早期に解決することができました。様々な士業団体の専門家と連携する民間総合調停センターの強みがフルに活かされた事例です。

解決事例(歯科治療の事案)

歯科治療の事案

1.申立の内容
申立人は、奥歯の痛みを感じて相手方の歯科医院で治療を受けたのですが、治療後に激痛が発症し、同じ病院の他の歯科医に再診してもらったところ、痛みのもととなった奥歯は、前医で「神経が通っていない」と説明を受けたのに、実際は「神経は残っている。それを前提とした治療をしないといけない」と言われたとのことで、正しい治療を受ければ、異常な痛みは発生しなかったはずで、不適切な治療に対して慰謝料を請求するということでした。
2.事案の審理の経過
和解あっせん人は、医療機関側と患者側の代理人経験のある弁護士2名と司法書士1名でした。
申立人は、医療には素人であり、代理人も付けていないため、医療行為の専門的知識が不十分で、治療行為の問題点を結果から推論するという主張をしていました。そこで、和解あっせん人からは、裁判手続では申立人に、歯科医師の過失の立証責任があること、その立証は容易ではないこと、訴訟では相当な時間と費用がかかることなどを説明をしました。他方、相手方の歯科医は、治療行為が適切かどうかを長々と議論して白黒をつけるより、診療代に若干の慰謝料を付加して早期に解決したいとの意向がありました。
話し合いの結果、解決金として相手側は申立人に対し数万円を支払うことで合意に至りました。申立てから解決まで期日は2回。期間は2ヶ月半でした。
3.ADR利用のメリット
本件では、医療分野の専門的知識が無い、一般の方が、医療機関を相手に交渉をしようとしましたが、医療機関側は適切な治療行為であったとして話し合いが平行線となっていた案件でした。ADRにおいて、専門的知識を有する和解あっせん人が公平な立場で解決への道筋を示すことができた事案であったと思います。

解決事例(理容店の事案)

理容店での毛染めの事案

1.申立の内容
申立人は、毛染めの溶剤により皮膚炎になったとし、それにより生じた治療費、通院交通費、休業補償、慰謝料などを申し立てたものです。
相手方の理容店は、代理人として弁護士が就任しました。賠償責任については双方とも争いがなく、賠償額が争点になりました。
2.事案の審理経過
賠償額について双方の意見を聞きました。和解あっせん人には、弁護士1名と消費者団体から推薦された2名が対応しました。
話し合いの結果、解決金として相手方は申立人に対し相当額を支払うことで合意に至りました。申立てから解決まで期日1回、期間は1ヶ月半でした。
3.ADR利用のメリット
本事案は、被害の事実はあるもの、双方共に、適性賠償額が分からなかったため、交渉での解決が困難であった事案です。相手方とすれば、第3者を交えて和解することによって、終局的解決をしたいという希望が有ったようです。