代表ごあいさつ

当センターのホームページをご覧いただきましてありがとうございます。

本年6月の定時社員総会及び理事会におきまして当センターの理事長に選任されました吉野です。どうか、よろしくお願い致します。

多様な価値観を有する人達が共存していく社会の実現が期待されております。他方で、社会生活の中において各種の紛争が発生することは残念ながら避けられませんし、紛争の内容も複雑化、困難化しています。その意味で、裁判手続のほかに多様な紛争解決機関が多数設置されることが望ましいと考えられ、平成19年(2007年)4月に「裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律」(ADR基本法)が施行されました。

当センターは、平成21年(2009年)に、この法律の趣旨に則り設立された裁判外紛争解決機関です。しかも、設立に当たり、多くの専門家団体、経済団体、自治体等の各種団体が参加しました。このように多様な各種の団体、特に専門家団体が多数参加して成立した、総合的な紛争解決機関ということができるADR機関は、わが国では他に例をみません。

当センターの目的は、各専門家団体が有している専門的知識を活用することにより、民事や家事に関する紛争全般について、話合いによって、条理にかない、実情に即した、公平かつ妥当な解決を迅速に実現することにあります。裁判所では、話合いによる解決方法として「調停」制度を設けていますので、当センターは民間の調停機関ということができます。そして、社会に生起するあらゆる紛争を解決することを目的として、名称を「民間総合調停センター」としています。

当センターにおいて手続を担当する和解あっせん人は、各専門家団体等から、それぞれ事件に相応しい専門家を原則として3名選任しています。「三人寄れば文殊の知恵」と言われています。このことわざは、平凡な者も三人集まって相談すればよい知恵が出るものだ、ということを意味しています。当センターは、各分野で豊富な経験を積んだ専門家3名が知恵を絞って皆さんのためにより良い解決策を探るために日々努めています。

当センターは、設立以来、国内のADR機関の中でも相当数の案件を取り扱い、実績を積み重ねてきました。しかし、裁判所に申し立てられる調停事件数に比べると、まだまだの感があります。今後、手続を担当する和解あっせん人の数を拡大すると共に研修等により質的にもいっそう高めていく必要があると考えています。

当センターは設立から10年を経過し、いわば第二の段階に入ったということができます。そして、これを契機として、紛争解決の専門的機関として府民、市民の皆様により広く受け入れられ、世の中で困っておられる多くの方々にいっそうご利用いただき皆様のお役に立つことを願っています。近年では、地震、台風等の自然災害に起因する事案や感染症を理由とする事案の申立ても目を引きます。紛争の解決も、病気と同じで早期解決が大切です。民事や家事の紛争を抱えお悩みの方は、ぜひとも当センターをご利用ください。

公益社団法人民間総合調停センター 理事長吉野 孝義